【業界研究】香料メーカーについて徹底解説!特徴や向き不向きは?
2024/5/29更新
はじめに
就活を成功させるためには、それぞれの業界研究が欠かせません。
業界独自の業務や特徴を知っていないと、入社後にギャップを感じて長く続かないことも考えられます。
長く続けるためには、業界全体の将来も考えることが必要だからです。
今回は、香料メーカーについて基本概要から業務内容、向いている人・向いていない人をご紹介します。とくに、下記について悩んでいる就活生に向けています。
- 香料業界について知りたい
- 香料メーカーでの業務内容を知りたい
- 香料メーカーの仕事に向いているか知りたい
香料業界とメーカーに興味があり、業界研究があまり進んでいない方は、ぜひご確認ください。
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香料メーカーとは?

香料メーカーとは、食品用のフレーバーからはじまり、香水や芳香剤などの製造を行なう企業のことです。
メーカーでは、単品香料の合成、食品系のフレーバー、フレグランスの調合香料、すべて扱う総合香料などに分かれます。
食品メーカーや化学メーカーのいち分野としても捉えることができるでしょう。
特徴的なのは、香料はオーダーメイド生産であることが大半です。
それぞれ商品に合わせて目指す方向性があり、内容がマッチしたものをつくり出さなければいけません。
現在の香料市場は、日本国内で大小合わせ200社程度あり、国内生産量約8万tとなっています。
世界の市場規模は年間2兆円ですが、日本で絞ってみるとトップの高砂香料工業でも2,000億円程度です。
規模としてはかなり限定された市場の中で活動している業界といえます。
業績は落ち込んできたとはいえ、世界的にみれば成長している産業で、年間2%ほど成長を続けているとされてきました。
特にBRICSを中心に海外展開してきたことが、市場の伸びにつながっているとされています。
日本の市場規模を見ると、思ったより小さいと感じるかもしれません。
巨大企業がひしめく業界と比較すると、かなり小さいからです。
背景にあるのはオーダーメイドの部分で、巨大企業よりも小回りのきく中小企業が中心になってきたことがあげられます。
複雑な風味やテクスチャーに対する対応が必須であり、販売規模よりも商品開発が重要です。
実際に株式公開している企業はわずかで、高砂香料工業、長谷川香料、曽田香料あたりしかありません。
それほど香料メーカーは、小回りが利くことを求められているのがわかります。
香料メーカーの平均年収
香料メーカー全体の平均年収は公表されているわけではありません。
上場している3社の平均を見てみましょう。
| 社名 | 平均年収 |
| 高砂香料工業 | 792万円 |
| 長谷川香料 | 712万円 |
| 曽田香料 | 645万円 |
平均は約716万円です。
日本の平均給与が461万円であることを考えれば、かなり高い水準となっています。
化学業界の平均としてみても646万円です。
化学業界は、平均年収が下降線をたどっているといわれていますが、その中でも平均702万円は、相当優秀なことがわかるでしょう。
香料メーカーの種類

香料メーカーにも複数の種類があります。
どのようなメーカーがあるのか認識しておくことは、就職活動においての基本です。
種類①単品香料メーカー
香料の中でも、純粋な化学物質ひとつだけでつくり出されるものを単品香料と呼びます。
シングルフレグランスとも呼ばれてきました。
単品香料は、ほかに配合するものがないため、オーダーに合わせにくいという問題を抱えています。
そのため、複数の香料を混ぜ合わせてつくる調合香料の材料となるのが基本です。
単品香料の中でも、さらに部分的に分離されたものは単離香料と呼ばれてきました。
ハッカから得られるメントールなどが代表的です。
井上香料製造所、日本テルペン化学などが単品香料メーカーとして知られています。
種類②食品系のフレーバー
フレーバーとは、食品香料のことです。
経口摂取を目的とした食品に付与することが主な目的であり、美味しさにもつながる要因として重要な役割を担ってきました。
人間の感覚として、フレーバー次第では、美味しいどころか危険と感じることもあります。
これは人間の嗅覚の中にある記憶につながっているからです。
フレーバーは匂いに限定されており、腐敗を防ぐ作用や着色としては使われませんし、性能としても持っていません。
内外香料やコーケンフード&フレーバーなどが、フレーバー系のメーカーです。
種類③フレグランスの調合香料
フレグランスとは、狭義では香水やコロンを指しますが、実際には芳香剤、化粧品なども含んだ香料を指します。
香粧品香料と呼んだ場合も、フレグランスのことです。
純粋に香りを楽しむのであれば、香水やコロンがあります。
化粧品や医薬部外品、トイレタリー製品、ハウスホールド製品などもフレグランスです。
小川香料や日本コルマーなどがフレグランスメーカーとして知られています。
種類④すべて扱う総合香料メーカー
フレーバーやフレグランスに限らず、総合的に扱っているメーカーもあります。
企業としての規模が影響することから、上場している4社は総合香料メーカーといえるでしょう。
業界トップの高砂香料、長谷川香料、曽田香料などが総合香料メーカーです。
香料メーカーの主な業務内容

香料メーカーの主な業務内容は下記のとおりです。
これも香料会社によって、事業領域に違いがあります。
業務内容①製造職
香料メーカーの中心的な仕事になるのが製造職です。
注文に対して生産計画を立てて必要な原材料を確保しつつ、生産製造から品質管理まで行っています。
製品によって製造の方法には差があり、速度を重視する場合もあれば、多品種少量生産などオーダーによって変わるのが特徴です。
業務内容②品質管理職
香料メーカーの重要な役割が、品質管理職です。
多品種少量生産が中心となりやすい香料メーカーですので、それぞれの品質を徹底管理しなければいけません。
オーダーに沿っていることはもちろんですが、正しい製品であることを常に追求していきます。
毎日香りや色などを検査していくスペシャリストであり、味も判定しなければいけません。
業務内容③営業職
自社製品をお客様に提案するのが営業職の仕事です。
製造や品質管理が香料メーカーの柱だとすれば、営業は外に向けた看板といえます。
対外交渉が業務の基本で、食品メーカーやほかの香料メーカーなどと接触するのが仕事です。
香料メーカーの場合、取引先は全国に及ぶことが多く、香料を持っての移動なので車を使うことが主となっています。
新たな香料のオーダーを受けることになるため、多岐にわたる知識が必要で、業界や職種をまたいだ横断的能力が必要です。
業務内容④事務職
香料メーカーの縁の下の力持ちになるのが事務職です。
社内のあらゆる中継点となる仕事であり、原材料の発注などの購買業務も事務職の仕事になります。
香料メーカーは規模が小さいことがあげられるため、さまざまな業務の拠点となるケースが多いでしょう。
ほかのメーカーと比べても、事務系のエキスパートが育ちやすい環境です。
業務内容⑤開発職
香料メーカーの中で、オーダーに合わせた香りを開発するのが開発職の仕事です。
香りの成分を覚え、どのような調合によって生み出すかを決める大切な仕事で、香料メーカーの顔ともなります。
機器を使った分析もありますが、最終的な割り出しは人間の手によるものが多く、ニーズにマッチした製品を提供する大事な役割を担ってきました。
開発職の能力次第で香料メーカーの企業が決まるともいえます。
香料メーカーのメリット

香料メーカーにも、メリットがあります。
特徴ともいえる部分になるので、どのような部分があるか分析していきましょう。
メリット①収益性が高い
香料メーカーは、ほかの業界のメーカーに比べて、利益率が高いことでも知られてきました。
さまざまな企業の財務諸表からも現れていますが、天然香料だけでなく、原材料費を抑えた合成香料も使われているためです。
希少な材料を使う場合もあり、原材料が一口に安価になるとはいえませんが、全体的な収益性はかなり高い業界です。
メリット②日本の主力は食品
日本の香料メーカーの主力商品は、フレーバーであることは間違いありません。
食品に使われるフレーバーは、味とともに美味しさを左右するものであり、売上にも直結する大きな要因です。
フレーバーは、景気に左右されにくいのも特徴で、会社の業績的にも安定感をもたらす要因となっています。
メリット③BtoBであること
香料メーカーの取引先は、ほぼ他業種のメーカーです。
食品メーカーや香水など化粧品メーカーなどが取引先であり、ビジネス展開はBtoBを基本としています。
少量多品種ロットを基本としていますが、売上的には安定しやすい業務内容です。
メリット④給料の安定
BtoBがメインであり、不景気に左右されにくい香料メーカーは、給料も安定しているといわれてきました。
年収水準も、ほかの業界に比べて遜(そん)色ありません。
下降線になってきたとはいえ、まだまだ成長できる産業であるのは、大きなメリットです。
メリット⑤転勤は少ない
香料メーカーは、規模が小さいことも特徴です。
取引額が小さいのは問題ですが、転勤ということで見れば、ほとんどありません。
本社や本社工場のほか、日本各地に拠点を持っていないことも多いからです。
転勤する場所がない以上、勤務地は限定的で、安心して生活できるのもメリットになっています。
香料メーカーのデメリット

次にデメリットを探っていきます。
デメリット①会社の規模は小さい
香料メーカーは、会社としてはかなり小さいことがほとんどです。
業界的に上位3社程度しか上場していないことからもわかるでしょう。
給料水準はかなり高いレベルですが、社会全体が急激に落ち込んだ場合、小さな規模であることはデメリットにつながります。
すぐに破綻をきたすことはないとしても、大ダメージを受けると立ち直るのが難しい規模であるのは確かです。
デメリット②天然資源の奪い合い
香料メーカーは、合成香料だけでなく、天然資源も扱っています。
人口増による資源の減少は顕著であり、需要に合わせた生産量が確保できていないことは確かです。
費用を打ち出せる諸外国企業は有利ですが、円安による影響により、国内メーカーはかなり不利な立場になっています。
競争の面でも勝てない状況が生まれる可能性があるのです。
デメリット③グローバル展開には弱い
香料メーカーは規模が小さいわけですが、どうしてもグローバル展開が難しい点もデメリットです。
海外展開したくても資本力が弱く、円安という障壁が道を阻みます。
日本市場はこれ以上大きくはならないともいわれており、海外展開が必須の条件下でも行動が制限される可能性が高いのです。
デメリット④香りという仕事である
メリットでもありますが、香りという部分が大きなデメリットになる可能性もあるでしょう。
もし、なにかの問題で香りが判別できなければ、営業でも仕事を失うかもしれません。
もちろん、日々のケアが重要ですが、体調的な問題が起こる可能性もあるからです。
主観的な部分も強いことから、伝えにくさも出てきます。
香料メーカーに向いている人・求められるスキル

香料メーカーには以下のスキルが求められます。
下記のようなスキルを身につけている人やこれから考えている人は、香料メーカーに向いているでしょう。
香りをかぎ分け組み立てる能力
香料メーカーでは、少量多品種を基本としており、香りをかぎ分ける能力が求められます。
これはフレーバリストのような調香を仕事としている人たちだけではありません。
営業などでも、香りがわからなければ勝負にはならないでしょう。
原材料の理解も必要で、どのような香りか、記憶をたどらなければいけません。
営業などでも、主観的表現でオーダーを伝えられたときに、みずからの感性で返答する必要があります。
これは組み立てる能力であり、アイデアとともにイマジネーションが求められるのです。
さらに、香りに対する評価能力も求められます。
どのような修正が必要なのか、言葉として伝えなければいけないからです。
イメージを伝えることの能力も必要になります。
実際には機器の発達などで、ここまで細かに要求されることは少なくなりました。
しかし、能力を持っているのであれば、香料メーカーに向いていることは間違いありません。
資格はない
正確な表現ではありませんが、香料業界に必要な資格はなく、公的資格もありません。
調香師と呼ばれる人達もいますが、自社資格で設定されている資格です。
極端に捉えれば、社内資格なので誰でもなれる可能性があります。
このことからも、経験が重要なのであって、資格が重要なわけではありません。
スキルとしてみても、入社後に磨かれる部分が大きなウエイトを占めます。
それよりも、香りに対する興味のほうが重要視されるでしょう。
香料メーカーの大手企業3選

香料メーカーの大手企業は、下記のような企業があります。
上場している3社の比較です。
| 会社名 | 売上高 | 平均年収 | 企業理念 | 社風 |
| 高砂香料工業 | 1,959億円 | 792万円 | 香りを原点とする革新的な技術を通して、新しい価値を創造し続ける | 古い社風が残るが、若手への理解もある |
| 長谷川香料 | 645億円 | 712万円 | 「専門家としての揺るぎない視点」「ニーズに対応していく熱意」「仕事を成し遂げる力」 | 創造性豊かで自由闊達 |
| 曽田香料 | 182億円 | 645万円 | 香料を中心とする各種製品の開発と生産を進め、これを顧客に販売することを通じて、社会に奉仕する | 保守的で安全安心が第一 |
香料メーカーの就活を成功させるためには

香料業界への就職を目指すのであれば、いくつか大事なポイントがあります。
規模が小さな企業が多いことや、香りという特殊なものを扱うことを理解して進めていきましょう。
エントリーシートの重要性
香料業界への就職を目指すのであれば、エントリーシートが重要になってきます。
なぜ香料メーカーへ就職したかったのか、明確にしなければいけません。
実際に大小さまざまなメーカーがあり、それぞれ独特の特色を持っています。
規模や活動範囲なども含め、研究が欠かせません。
入社後にどのようなことをしたいかも重要です。
香りに関することも多く出てくるため、好きな飲料や食べ物と香りの関係などははっきりさせておく必要があります。
これは香りの言語化という部分でも、必須の能力といえるからです。
逆に嫌いなにおいと理由なども、言葉として明確にしておくといいでしょう。
グループディスカッションなどで求められるポイント
香りの仕事はひとりでは完遂しません。
多くの人材とともに協力し進めていくことになるでしょう。
グループディスカッションがあった場合には、いかに協力し結果を出すかが求められます。
スタンドプレーなどよりも、お互いの良さを引き出すような行動が目を引きます。
香料メーカーの評価としても重要ポイントです。
面接のポイント
志望動機はもちろんのこと、言語化の能力を問われることになるでしょう。
どうして香料メーカーだったのか、その決め手になる部分は明確にしなければいけません。
エントリーシートとの整合性も求められます。
香りを言葉として伝える必要があるため、好きな香り・嫌いな香りを明確に言葉で伝える練習が必要です。
香りは主観的な評価になりますが、客観的表現を踏まえていかなければいけません。
相当な練習を積まないと、うまくいかない部分です。
対象企業がどのような事業領域を得意としているかによっても違います。
食品に関することも面接で問われる可能性があり、食品業界ではなく香料メーカーであった理由も大切です。
帰結する部分として、香料メーカーでなければいけなかった理由にしないと受け入れてもらえません。
フレグランスなら、どのような香りがなぜ好きか、その背景的な部分も説明できるようにしておきましょう。
インターンシップの重要性
香料メーカーが主催するインターンシップには、必ず参加しておきましょう。
会社の規模が大きくない以上、採用人数も限られます。
インターンシップに参加するだけでも、自分の顔と名前を売るチャンスです。
インターンシップでの経験も、エントリーシートや面接に大きな影響を与えます。
なぜならば、香料業界というものは、実際に触れてみないとわからないことがたくさんあるからです。
どんなことをしているか感じとるチャンスですから、香料メーカーに就職したいのなら、チャンスを生かすべきです。
まとめ
今回は香料メーカーについて解説しました。
就活を成功させるためには、どのような業界でも研究が欠かせません。
なかでも香料メーカーは、普段から接していても、業務の実態などは分からないことが多いはずです。
取引の基本がBtoBであることにも起因します。
業務内容や大手企業だけでなく、小さな企業にも目を向けなければいけないのが香料業界の特徴です。
就職を目指すのであれば、本当に自分に向いているかの自己分析と判断から、業界分析を進めて組み合わせていきましょう。









