【企業研究】川崎汽船の就職難易度・採用大学・選考対策を徹底解説
2023年9月30日更新
はじめに
川崎汽船(川崎汽船株式会社)は、大正から続く海運業界の老舗大手企業です。「海運大手3社」にも数えられ、新しい技術の導入などに積極的に取り組み、今も昔も、業界の最先端でリードし続けています。
そんな海運業界の雄である川崎汽船での新卒採用を目指している人に向け、企業研究に役立つ内容を解説します。企業の基本的な情報と併せて、新卒選考フローや就職偏差値、採用大学など、選考対策に使える内容もチェックしましょう。
海運業界
海運業界は、物資の海上移動を担う業界のことです。広くは物流業界の一部となる業界でもあります。日本の貿易は海上を経由するものがほとんどであり、海運業界は非常に重要な存在です。陸上輸送・航空輸送などと並んで、日本の物流を支える要と言えます。
海運業界以外の業界については、以下の記事で概観しているので、ぜひ読んでください!
事業内容
川崎汽船の事業は、輸送する物の種類や使用する船、輸送を円滑に行うための取り組みなどによって、次のように区別されています。
ドライバルク船
石炭・鉄鉱石・穀物などを、バラ積み船に積載し輸送する事業です。日本に向けた輸送の他、新興国や大西洋など、海外向け・海外経由の輸送も行っています。
自動車船
完成車を自動車船で輸送する事業です。自動車専用船での完成車輸送サービスを日本で初めて行ったのは川崎汽船。1970年のサービス開始から現在まで、海上を利用した自動車の物流を牽引し続けています。
LNG船
LNG船でLNG(液化天然ガス)を輸送する事業です。LNGは不純物をほとんど含まないクリーンな燃料であり、電気・ガスなど幅広いエネルギー創出に利用されています。
カーボンニュートラル推進事業
カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出・吸収のバランスにより排出量ゼロを目指す考え)を意識した取り組みを行う事業です。川崎汽船では、世界的な脱炭素・カーボンニュートラルの高まりを受け、2021年4月からカーボンニュートラル事業に専門的に取り組む組織(カーボンニュートラル推進グループ・燃料グループ・環境推進グループなど)を設け、環境への配慮にも注力しています。
油漕船
油槽船(タンカーなど)を使用し、原油・LPGなどを始めとした石油関連の物資を輸送する事業です。大型タンカー・中型タンカー・LPG船など、多様な船体を駆使しながら、グローバルな輸送活動を展開しています。
燃料事業
燃料に関する新たな事業の起ち上げに向けた業務を行う事業です。川崎汽船はさまざまな液化ガスを高い技術でもって安全に輸送してきた実績があり、そこで得た知見やノウハウを持って、さらに幅広いニーズに対応した事業の展開を目指しています。
電力・海洋事業
海外や海洋におけるエネルギー資源開発に取り組む事業です。ドリルシップやFPSO(浮体式石油・ガス生産貯蔵積出設備)など大規模な設備を駆使しながら、エネルギーの探査掘削や生産・貯蔵・輸送などを行います。
コンテナ船
コンテナ船で多様な物資を輸送する事業です。2018年より、川崎汽船・商船三井・日本郵船の3社が共同で設立したオーシャンネットワークエキスプレスで、サービスを行っています。
ターミナル事業
コンテナターミナルの運営を行う事業です。情報システムの導入や作業の自動化などのオペレーションを取り入れ、海上輸送する・輸送後の物資を効率的に取り扱っています。
物流事業
長年の海上輸送で培ってきたノウハウやネット―ワークを活かし、物流事業も展開しています。フォワーディング(輸送の手配)・陸上輸送・倉庫運営など、さまざまな事業によって物流を支えています。
新卒選考フロー
続いて、川崎汽船の新卒選考フローを紹介します。陸上職・海上職の2種類の職種がありますが、基本的にはどちらも次のような流れで選考が進みます。
プレエントリー
まずは川崎汽船のリクルートページからマイページを登録し、プレエントリーを行います。応募や選考に関する具体的な情報はマイページ経由で案内されます。
WEBテスト
プレエントリーが完了したら、WEBテストを受検します。WEBテストの形式は玉手箱やSPI、あるいは独自形式など、実際に受検した人からの情報が少しまちまちです。年度や募集職種によって形式が異なる可能性があります。
エントリーシート提出
マイページからエントリーシートに入力・提出します。エントリーシートでは、川崎汽船の志望動機や大学で力を入れて研究したテーマなどに関する質問があるようです。
グループディスカッション・個人面談・適性検査
川崎汽船は選考でグループディスカッションと個人面談を行います。グループディスカッションでは、特定の業務(百貨店の売場担当者や新商品の企画担当者など、川崎汽船が実際取り組んでいる事業とは限らない)を設定し、自分が担当者ならどのように動くかをテーマにディスカッションすることが多いようです。
個人面談は複数回行われます。志望理由や自己アピールなどの他、自分が応募した職種の魅力やデメリットなど、少し掘り下げた内容も尋ねられます。なお、選考の間に適性検査も実施されます(形式はSPIです)。
社風
川崎汽船の社風の主な特徴も見ていきましょう。海運業の大手として、さまざまな時代の変化に対応し続けている柔軟な企業姿勢が社風にも表れているようです。
多様性を尊重する懐の広い雰囲気
川崎汽船の社風で特徴的なのは、多様性を尊重する風土です。海外での業務を経験している社員も多く、さまざまな個性を受け入れる懐の広さがあります。自由な空気で風通しが良く、横のコミュニケーションが取りやすい環境です。また最近はトップダウンの傾向もそれほど強くないようです。職場環境的にも業務的にも、社員が自分を出しやすい会社だと言えるでしょう。
自主性が重んじられる
川崎汽船は若手であっても、裁量権の大きい責任ある仕事を任されることが珍しくありません。自由な社風は業務の中にも見られ、指示を待って動くだけでなく、自主性が重んじられる部分も多々あります。自分で考え、自分の力を発揮して仕事で活躍したいと考える人なら、大きなやりがいを得ながら精力的に働けそうです。
求める人材
川崎汽船の採用情報サイトにある学生へのメッセージを見ると、世の中の変化に合わせ、柔軟に考え、主体的に行動できることを期待する記載があります。
川崎汽船は国内の海運業をリードする存在として、常に新しい活動にも積極的に打って出てきました。現在の世界を取り巻く情勢や著しく変化を続ける社会においては、今まで以上に社会の流れへの対応力が必要だと考えられます。海外を股にかける海運業は社会情勢の影響を常にダイレクトに受けます。そのため、川崎汽船では社員に、常時アンテナを巡らせて最新の情勢をキャッチし、自分で考え行動する主体的な力を求めています。
就職偏差値・難易度および業界での立ち位置
会社名 | 売上高 | 平均年収 | 就職偏差値・難易度 | 社風 |
川崎汽船 | 9,426億円 | 1,326万円 | 61 | 多様性を尊重する雰囲気 |
商船三井 | 1兆6,119億円 | 1,517万円 | 65 | ドライな距離感で個人主義 |
日本郵船 | 2兆6,160億円 | 1,322万円 | 66 | 穏やかでアットホーム |
財務情報の比較(売上)
川崎汽船と比較対象に挙げた商船三井・日本郵船は、海運大手3社と呼ばれています。海運大手3社は国内の海運業において、事業規模が抜きんでた大手のトップ3です。売上高が最も大きいのは日本郵船、次いで商船三井、川崎汽船となっており、この順位は例年ほとんど変動が見られません。なお、2022年度の業績は前年度に比べて3社とも上向きです。
社風の比較
ここで挙げた海運大手3社の社風として共通するのは、基本的には明るく人柄が良い社員が多いことです。業界を引っ張る大手企業の一員だという責任を自覚し真面目に仕事に向かう、誠実な人が集まっているとの声が聞かれます。ただし、社員同士のコミュニケーションや、上下の関係については企業によってやや違いがあります。例えば商船三井は個人主義的な雰囲気もあり、社員同士の距離はそこまで近くないようです。日本郵船は会社の規模に対して社員数がそれほど多くないこともあってか、社員同士の距離感が近く、アットホームな雰囲気が見られます。なお、距離感の違いはあるものの、おおむねどの企業でも良好な人間関係を築きながら働けるようです。
また、度合いは企業によりけりですが、それぞれの企業で新しいことに挑戦する社風があります。この3社の中でも、特に社員の自主性を重視する社風があるのは、川崎汽船でしょう。海外勤務経験など、多様な経歴を持つ社員が多いことから、社員それぞれの個性やスキルを尊重する環境があります。また、年代に関係なく社員は責任のある仕事任せてもらえるため、自分の裁量で業務を動かす経験を経て成長しやすいとも考えられます。
就職偏差値
海運大手3社の就職偏差値は軒並み高めです。3社の中でも売上高トップ2の日本郵船と商船三井の就職偏差値が特に高くなっています。ただし、川崎汽船は近年業績好調が続いており、2023年3月期の平均給与が大幅にアップしました。このような状況から、今後さらに就活生からの人気が高まり、就職偏差値も高くなる可能性もあります。
採用大学
川崎汽船の採用実績がある大学の例は次の通りです。
青山学院大学、秋田大学、愛媛大学、大阪大学、大阪市立大学、大阪府立大学、岡山大学
小樽商科大学、お茶の水女子大学、鹿児島大学、金沢大学、関西大学、関西学院大学、関東学院大学、学習院大学、学習院女子大学、北九州市立大学、九州大学、京都大学、京都外国語大学、慶應義塾大学、甲南大学、神戸大学、神戸市外国語大学、国際教養大学、国際基督教大学、埼玉大学、首都大学東京、上智大学、成蹊大学、専修大学、静岡大学、千葉工業大学、千葉大学、中央大学、筑波大学、津田塾大学、東海大学、東京大学、東京外国語大学、東京工業大学、東京理科大学、東北大学、同志社大学、長崎大学、名古屋大学、新潟大学、一橋大学、広島大学、フェリス女学院大学、北海道教育大学、北海道大学、明治大学、明治学院大学、横浜国立大学、横浜市立大学、立教大学、立命館大学、立命館アジア太平洋大学、早稲田大学 など(五十音順)
この採用大学例を見てわかる通り、大学の偏差値レベルも地域もかなり幅広です。国内有数の難関大学の名前も見られますが、ローカルな大学も少なくありません。全国各地からかなり満遍なく学生を採用している印象です。
したがって、川崎汽船には学歴フィルターは存在しないと考えられます。なお、川崎汽船の新卒採用サイトにあるよくある質問の中には、「求める人物像としての要素を重視」する旨が記載されています。
平均給与大幅アップで国内でも有数の伸び率
上場企業の2023年3月期における平均給与について、川崎汽船が伸び率3位にランクインしたというニュースがありました。川崎汽船の2022年3月期の平均給与は990万円、2023年3月期は1,326万円と、実に3割以上の伸び率になっています。このような大幅な平均給与アップの要因は、近年の業績の好調が影響していると考えられます。情勢の変化に対応するのがうまい企業なので、今後の業績にも期待です。
まとめ
海運業界のリーディングカンパニーである川崎汽船には、働く場所として魅力的なポイントが数多くあります。国内の物流を力強く支え続ける業界のトップを走る企業なので、就職できれば大きなやりがいとともに、充実した社会人生活を送れるでしょう。学歴フィルターは存在しないと考えられますが、就活生から人気の企業なので、採用を目指すなら十分な選考対策は欠かせません。ぜひ今回紹介した内容を、就活に活かしてください。