【実践編】インターンで使えるペルソナの設定方法!

2022年6月1日更新

はじめに

最近のインターンシップでは学生に「ペルソナ」を設定させる企業が増えてきました。

「えっ!? ペルソナって何ですか?」
「ゲームなら知ってますけど…」
「知らないとヤバいですか?」

と思われるかもですが、インターンシップのグループワークでいきなり企業側の担当者から

「ペルソナ設定って知ってますよね?」

と言われたらどうしますか?

他の学生がウンウンと自信あり気に頷いている姿を尻目に、あなたは全身汗まみれで途方に暮れてしまうかもしれません。

ペルソナと同様に、コンバージョンやらRPAなどの横文字をやたらとオンパレードする会社も多く、言葉の定義を予備知識として持っておかなければ話しにならない、危機的な場面に遭遇するケースもあるでしょう。

そうならないために本記事ではインターンシップのグループワークで課題としてよく出されるようになってきた「ペルソナ設定」について解説していきます。

この記事でわかること
  • ペルソナの概要
  • ペルソナを設定する目的
  • ペルソナ設定の具体的なやり方と注意事項
  • 上手くペルソナ設定ができる学生が評価される能力 など

ペルソナの定義やターゲットとの違い、具体的なペルソナ設定のやり方までを知りたいあなたに、有益なコンテンツになります。記事は10分程度で読むことができるので、ぜひ最後までご覧ください。

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ペルソナとは

ペルソナという言葉は元来、古典劇における「仮面」や、心理学では人間の「外界に対してつけている仮面」を表す言葉でした。

それが転じてマーケティングでは企業が手がける商品やサービスを利用する架空の人物を指すようになったのです。

ペルソナで定められる顧客像には、氏名や年齢、居住地、職業、年齢、価値観やライフスタイル、身体的特徴までかなり細かい情報が盛り込まれます。

ペルソナを用いる意図としては、お客様が持つ人物像をはっきりと仮定し、効果的な集客・販売戦略などの「戦略」を明確化するためです。

また、最適な商品・サービス構築のために欠かせない要素を見つけ、効果的な施策を講じる目的もあります。

ペルソナを設定する目的

「なぜ、ペルソナを設定するのですか?」

先ほども使用する意図を簡単に述べましたが、ペルソナを設定する主な目的は3つあります。

1つずつ説明していきましょう。

ペルソナを設定する目的

  1. プロジェクト関係者の認識のズレをなくすため
  2. ユーザーのニーズを反映できるため
  3. コストの削減ができるため

①プロジェクト関係者の認識のズレをなくすため

ペルソナを設定することで、プロジェクト関係者内に生じる認識のズレを解消し、方向性を統一することができます。

1人の人物像を言語化しておくことで共通認識を持ちやすくなるため、プロジェクト内で課題や迷い、誤解が生じた場合も、ペルソナという根幹に立ち返ることで、困難な状況からの脱却がスムーズになります。

②ユーザーのニーズを反映できるため

ペルソナの設定はユーザーのニーズを適切に反映した商品、サービスの開発に欠かせない工程です。

企業が利益をあげるためには、自分たちの都合ばかりを優先するのではなく、ユーザーから認められ、求められる商品やサービスを開発しなければなりません。

そのためにはユーザーが日々何を思い、どのような生活をしているのか、その実態をいかにリアルに想像して近寄ることができるかが生命線になります。

ペルソナを設定することで、ユーザー側に視点を切り替えられ、ニーズを満たす商品やサービスを開発できるというわけです。

③コストの削減ができるため

適切なペルソナ設定により、プロジェクトの成功に欠かせない要素が顕在化されます。その結果、無駄なく効果的な施策を集中的におこなえるようになるため、コストの削減が期待できます。

成果までのスピードや確実性を高めつつ、コストを最小限に抑えることができるので、レバレッジが高い工程といえるでしょう。

「ペルソナ」と「ターゲット」の違い

マーケティング用語で、ペルソナと似た単語に「ターゲット」がありますが、ペルソナと似て非なる概念なので、ここで押さえておきましょう。

ペルソナは、自社の商品やサービスの利用してくれそうな架空のユーザー像を作り上げることで完成します。

一方でターゲットは、性別や年齢層、居住地、消費動向などから自社が訴求すべき「実際に存在する集団」に絞り込んで設定します。

 ペルソナとターゲットはどちらも求める人材を指しますが、下図のように「設定方法」と「パーソナリティをもっているかどうか」という点が大きく異なるのです。

項目/名称ターゲットペルソナ
設 定 方 法絞り込む作り上げる
パーソナリティなしあり
人  物  像大まかな人物像1人の人物を想定
具  体  例男性、30代、3年以上の営業経験あり男性、31歳、独身、都内在住、食品会社で営業を8年経験、年収500万円、趣味はスポーツ観戦

さらに「ターゲット」は大まかな人材層を指すのに対して「ペルソナ」は性別や年齢以外にライフスタイルや趣味、価値観などの多くの要素を細かく決めていくので、1人の人物としてパーソナリティを持っているのが特徴と言えます。

よくターゲットは「面」、ペルソナは「点」に例えられますが、ターゲットは抽象度が高く幅があり、ペルソナはピンポイントで具体的な人物を表します。

ペルソナ設定のやり方を4ステップで解説

「ペルソナの意味やターゲットの違いはわかりました。でも、インターンのペルソナ設定を実際にどのようにやったらいいのか知りたいです。」という人に向けて、ここからはペルソナ設定を行う具体的なやり方を4ステップに分けて解説していきます。

ここでは、就活生に馴染みがあるほうが分かりやすいので、どのような学生を採用したいのかといった「採用ペルソナ」を作り込んでいきましょう。

「採用ペルソナ」を作り上げるステップは下記のとおりです。

「採用ペルソナ」を作り上げるステップ

  1. 採用の目的を確認する
  2. 自社の情報を改めて整理する
  3. 求める人物像の「設定理由」を確認する
  4. 具体的な項目に基づきペルソナを設定する

それではステップごとに1つずつ解説していきましょう。

【ステップ1】採用の目的を確認する

採用ペルソナを作成する前提として、1つ確認しておくことがあります。

それは「なぜ採用を行うのか?」という元々の目的を明確にすることです。

この部分が言語化できていないと、大本の「幹」の部分が間違ってしまうため「枝葉」も変な方向に向かってしまいます。

採用の第一義的な目的は「 ゴーイング・コンサーン」です。

会社が将来にわたって継続的に生き残っていくためです。

子孫を残さないと家系が無くなるのと同様に、新しい幹部候補人材を入れておかないと、長期的にみれば会社が存続できないから採用するのです。

来年にも潰そうと思っている会社では、そもそも採用なんかしませんよね。

この共通認識にブレがあると、採用計画を立てる時も、実際に採用選考を行う際も応募者に求める要素や優先順位が変わってくるため、最初の段階で明確にしておくことが大切なのです。

もしも、グループワークでペルソナ設定ばかりに目が向き、大本の「目的」が疎かになった場合は、待ったをかけて「目的」を共通言語化するリードをあなたが行ってください。

【ステップ2】自社の情報を改めて整理する

 「自社に合ったペルソナ」「求める人物像にあったペルソナ」を設定するためには、自社についての情報をキチンと整理しておくことが重要です。

なぜなら、短・中・長期を見据え、自社が必要とする人材やその人材に求める要素を考えやすくなるからです。

「なぜ、その経験を持った人がいいのか?」「なぜ、その志向を持った人がいいのか?」という点について整理した情報から答えを導き出すことができれば、より納得感のある精度の高いペルソナ設定が可能になります。

具体的には下記のような項目で整理していきます。

ペルソナを考えるうえで必要な要素
  • 経営理念
  • ビジョン
  • 事業内容
  • 募集職種・業務内容
  • 企業風土
  • 社風
  • 働き方

実際には、以下の具体例のように各項目ごとに明確に定義していきます。

【具 体 例】

経営理念世の中を笑顔で満たす
ビジョン生き生きとやりがいをもって働く人を増やす
事業内容社会人採用の人材紹介
募集職種・業務内容営業/求職者対応
企業風土チームワーク主義、常勝志向
社風社員同士は仲がいいが、上下関係はキッチリ。
働き方仕事の緩急がハッキリしているため、忙しいと残業が多くなりがち。かかわる人が多く、自分の業務マネジメント次第で組織力を使った大きな仕事に挑戦できる。

【ステップ3】求める人物像の「設定理由」を確認する

 採用目的を明確にし、自社の情報を整理した後は、現在設定している「求める人物像」を確認していきましょう。

求める人物像がない場合や、人物像を決めるのが難しい場合は、経営幹部層や現場社員へヒアリングを行い、どんな学生を採用したいのかを明確にしていきます。

ただし、インターンのグループワークでは現場のヒアリングが行えないため、ステップ1やステップ2の結果をベースにして、理想像をグループメンバー内で意見を出し合い、集約するステップが必要になります。

「求める人物像」は具体的なペルソナという「木」を作り上げる前の、抽象度の高い「森」の部分になりますので、絶対に決め込むことを忘れないでください。

 例えば、一般的な求める人物像としては以下が挙げられます。

  1. 積極的でチャレンジ精神旺盛な人
  2. 今までのやり方に固執せず、臨機応変に柔軟な思考ができる人
  3. 幅広い視点で客観的に物事をとらえることができる人

以上も参考にして、グループ内で共通言語化しておきましょう。

【ステップ4】具体的な項目に基づきペルソナを設定する

最後に、ステップ2と3で整理した内容を参考にしながら、採用用件を具体化してペルソナを作り上げます。

フォーマットを作成する際は、下記のような項目を準備して、ペルソナを言語化する作業を行います。

基本情報学歴、部活やサークル、アルバイト
パーソナル情報性格・志向性・価値観、長所/短所、趣味
学生時代の経験学生時代に1番力を入れたこと
就活志望業種/職種、企業選びで最も重視すること

例えば、ステップ3で求める人物像として「協調性」を挙げている場合の理由が「チームで取り組む仕事である」「かかわる人数が多い」といったことだと想定します。

この場合、ペルソナとして設定する人物像は、学生時代にチーム経験を積んでいたり、人を巻き込む経験があったりする学生になります。

質の高いペルソナを設定するポイントは、漠然と考えるのではなく理由とともに考えることです。 

【ペルソナ設定例】

氏名上活 太郎
性別男性
年齢21歳
学校●●大学●●学部●●学科
部活やサークル硬式野球部
アルバイト塾の講師
家族構成両親、兄の4人家族(同居)
趣味週末は部活以外に友達とキャンプをしたり、ドライブをしたりするアウトドア派。並行して隙間時間に読書も行う。
性格明るくクヨクヨと悩まないタイプ。人見知りせず、周りの人に気を配りながらも初対面の人にも積極的に話しかけ、可愛がられる面もある。
長所/短所積極的で物怖じしない反面、人1倍負けん気も強い
学生時代に1番力を入れたこと部活でキャプテンとしてチームを引っ張り、1部昇格を果たす。
就活メーカーの営業を希望

雰囲気がよく働きやすい職場環境

 

インターンシップで適切なペルソナ設定ができた場合に評価される能力とは?

具体的なペルソナ設定方法について紹介しました。

「ペルソナの設定」は、社会人になっても効果的に使うことができる実践的なスキルの1つですが、インターンシップでペルソナ設定を行い、効果的な施策を講じることができた場合、企業からはどのように評価されるのでしょうか。

ここでは、ペルソナ設定ができることによって評価される「能力」について紹介します。

ペルソナ設定ができることによって評価される「能力」
  • 市場を調査する力
  • 分析力
  • 企画力

市場を調査する力

ペルソナは「顧客の人物像」を細かく設定することを指しますが、もしもペルソナ設定の方向性が市場の需要とずれてしまうと、その後の施策にも悪影響を及ぼします。

そのため、ペルソナ設定は経営理念など「自社の特徴」を踏まえると同時に、「市場(消費者側)のニーズ・トレンド」も的確に把握し、その情報をもとにペルソナ設定をしていくことが重要です。

ペルソナ設定が適切な学生は「市場を調査する力」があると評価してもらえるでしょう。

分析力

適切にペルソナ設定をするためには、市場調査で得たデータを正確に分析する力が欠かせません。

また、適切に分析するためには、データを根拠にした「論理的思考力」や、機転を利かせて様々な角度からデータを見る「視野の広さ」が必要となります。

企画力

市場から必要な情報を収集し、そのデータをもとに分析した内容を踏まえてペルソナ設定した後は「どのようなサービスを展開するか」を考える力が求められます。

インターンシップでは課題に対する「解決策」までグループワークで考えて発表させるケースが多いため、効果的な施策を打てれば「企画力がある」という評価もしてもらえる可能性があります。

ペルソナ設定で注意すべき点

最後に、インターンのグループワークでペルソナ設定する場合の注意点を3つ紹介して、本記事を締めくくります。

ペルソナ設定で注意するべき点
  • 理想で作らない
  • 主観だけで作らない
  • ペルソナを細かく設定し過ぎない

①理想で作らない

 ペルソナ設定のゴールは「グループ全員が共通のイメージを持てる具体的な人物像を設定すること」です。

ペルソナを理想的なユーザーとして考えると、自社の商品やサービスを買いたくて仕方ない特別な人になってしまい、実際のユーザー像とはかけ離れてしまうため、効果的なアプローチがしづらくなります。

「こんなお客さんだったらいいな」という理想ではなく、具体的に購入したり、サービスを利用したりする可能性を意識して設定するようにしましょう。 

②主観だけで作らない

ペルソナ設定を行う際は、第三者の意見や調査データを参照にしましょう。

ユーザーのことを熟知しているという自信をベースに、調査をせずに主観だけでペルソナを作ってしまうケースは、実は少なくありません。

主観のみでペルソナを設定した場合、スピードは早くなります。しかし、正確性に欠けるというデメリットがあるため、調査に基づいたペルソナ設定を行うことが大切です。

インターンのグループワークでは時間や空間の制約があるため、対外的な調査は難しいでしょう。しかし、ネットなどを駆使してデータやアンケート調査結果を調べ、できる限り客観的なデータに基づくペルソナ設定を行うように心がけましょう。

③ペルソナを細かく設定し過ぎない

あまりにもペルソナを細かく設定し過ぎると、車のハンドルの「あそび」がないのと同じで、そんなユーザーはいないといった融通の利かないペルソナに終始してしまいます。

そのためには、ガチガチなペルソナよりも、ある程度の幅を持たせたペルソナを用意しておくのが良いでしょう。

さいごに

以上、ペルソナ設定について、インターン前までに押さえておきたい実践知識を解説してきました。

この記事の内容を簡単にまとめます。

記事のまとめ
  • ペルソナとは、企業が手がける商品やサービスを利用する架空の人物を指す
  • ペルソナを設定する目的は「プロジェクト関係者の認識のズレをなくす」「ユーザーのニーズを反映させる」「コストを削減する」の3点
  • ペルソナに似た「ターゲット」という言葉は意味が全く異なる
  • ペルソナ設定のやり方は主に4つのステップに分かれる
  • インターンでペルソナ設定ができた学生は「市場調査力」「分析力」「企画力」が評価される
  • ペルソナ設定は主観をもとに細かく設定しないことに注意すべき

本記事で解説した知識を一通り習得すれば、インターンで困ることも焦ることも皆無です。

ペルソナの設定に迷った場合は本記事を読み返して、インターンに胸を張って臨めるようにしてください。

なお、就活でペルソナ設定を使う場面の1つに「グループワーク」が挙げられます。グループワーク攻略法に関しては下記記事でも解説しているため、ぜひ参考にしてみてください。

本記事があなたの就活のお役に立てば幸いです。
今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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